義肢装具士の将来性【3つの視点からの考察】

今回は、義肢装具士の将来性について解説していきます。

義肢装具士を目指している方にとっては、気になるとろこではないでしょうか。

徐々に養成校も増えている義肢装具士ですが、

これからどこまで活躍が見込めるのか、3つの視点から見ていきましょう。

本記事の内容は以下の通りです。

 

医療職としての将来性

義肢装具士が国家資格化したのは比較的近年で、医療職としての歴史は浅いです。

そのため、現場ではなかなか医療職として見てもらえない場合もあります。

義肢装具士は、医師の処方がなければ義肢装具を作ることはできません。

基本的には、医師がどんな装具にするのかを決定します

つまり、医師の言われるがまま、ただ義肢装具を提供するだけでは、義肢装具士の必要性は薄くなる恐れがあります。

また、オーダーメイドでなければ、大概の装具は既製品があり、医師であれば装着可能です。

より良い既製品が出てくることによってオーダーメイドの需要も減る可能性があり、ひいては義肢装具士という存在の需要も危ぶまれます。

 

これから、義肢装具士としてより専門性を高めていかなければ、医療職としての需要は減ってしまう可能性はあるでしょう。

 

 

技術の発展がもたらす将来性

義肢装具士は様々な進化を遂げています。

近年では、スポーツに特化した義肢や、身体の電気を拾って動かせる義肢など、その発展は目覚しいです。

しかし、一方で現場の義肢装具製作方法は、長年変わらず続いています

石膏を利用した採型や、モデル作りは古くから使われている技法です。

 

ただ、近年3Dプリンターなど技術革新は著しく、義肢装具もその影響を受けると考えます。

今はまだ職人技で、1mm単位のモデル修正技術が必要です。

しかし、機械の精度が上がれば、より短時間で正確な作業が可能になってしまうかもしれません。

 

さらに、採型技術にしても、3Dスキャンの技術が向上すれば、数秒で患者様の身体データをとれる可能性はあります。

そうなれば、義肢装具士の採型技術は衰退していきます。

つまり、機械が優秀になればなるほど、義肢装具士には機械を扱うスキルが必要になります。

 

現場では3Dプリンターを導入している企業もあります。

徐々に機械化は進んでいくことが予想されます。

そこで求められてくるスキルは、繰り返しになりますが、義肢装具士としての専門性、および機械を扱う技術です。

今後、義肢装具士の学ぶ範囲は広がっていく可能性があります。

 

 

保険制度から見た将来性

義肢装具を購入するとき、保険が適用されることをご存知ですか?

義肢装具の保険適用は少し特殊で、病院のように最初から保険適用された金額だけ支払えば良い訳ではなく、

一旦全額を支払い、後から申請することで保険適用分が返ってきます

 

これを聞くと、「めんどくさい」って思いますよね。

実際、足が悪いご年配の方など、申請に行く行為が非常に負担になる場合もあります。

それだけでも大変なんですが、

義肢装具は、全てが保険適用の対象ではありません

 

認可が下りていない新しい装具、あるいはパーツなど、保険の適用外のものもあります。

本当は使いたいパーツがあるけど、保険の適用から外れてしまうため使えない。

そんなこともあります。

保険が適用されない場合、義肢装具は非常に高価になります。

つまり、義肢装具の価格は、保険制度に大きく依存しています

 

保険適用となるパーツは、毎年更新されます。

時として、保険の対象が引き締められることもあります

以前は、整形靴は広く保険の対象でした。

しかし、現在は整形靴の定義が狭くなり、保険適用の範囲が大幅に狭まったのです。

このように、保険制度が変わってしまうと、義肢装具もそれに合わせて変化させねばなりません。

今後の変化によっては、大きなリスクを背負うことになります。

 

 

まとめ

いかがでしょうか。

医療分野は日進月歩で変貌しつつあります。

そうなると、医療職である義肢装具士も変化を求められることは必須であると考えます。

需要がすぐになくなる心配はないとは思います。

しかし今後、義肢装具業界全体がどのように変化に対応するか、医療業界でどのような立場になっていくかで、義肢装具士の将来的な立ち位置は変化していくでしょう。

この記事が考えの一助となれば幸いです。

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